和俗童子訓31
貝原益軒著『和俗童子訓』31
父母の恩はたかくあつき事、天地に同じ。父母なければ、わが身なし、其恩、ほうじがたし。孝をつとめて、せめて万一の恩をむくふべし。身のちから、財のちから、をつくすべし、おしむべからず。是父母につかへて、其ちからをつくすなり。父母死して後は、孝をつくす事なりがたきを、かねてよくかんがへ、後悔なからん事をおもふべし。
【通釈】
父母の恩は高くて厚いこと、天地に同じである。父母がなければ、わが身もない、その恩は、容易に報いることはできない。だからこそ孝をつとめて、せめて万一の恩を報いるようにしたい。身の力、財の力を尽くし、出し惜しみしてはならない。父母に仕えて、わが力の限りを尽くす。父母が亡くなって後は孝を尽くすことができないのだから、今からよく考え、後悔しないように思いめぐらすことである。
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