和俗童子訓16

貝原益軒著『和俗童子訓』16

礼は天地のつねにして、人の則也。即人の作法をいへり。礼なければ、人間の作法にあらず。禽獣に同じ。故に幼より、礼をつつしみて守るべし。人のわざ、事ごとに皆礼あり。よろづの事、礼あれば、すぢめよくして行はれやすく、心も亦さだまりてやすし。礼なければ、すぢめたがひ、乱れて行はれず、心も亦やすからず。故に礼は行なはずんばあるべからず。小児の時より和礼の法にしたがひて、立居ふるまひ、飲食、酒茶の礼、拝礼などおしゆべし。


【通釈】

礼は天地の常道であり、人が則(のり)とすべきものである。つまり人の作法である。礼がなければ、人間の作法にはならない。禽獣に同じである。だから、幼時より礼を慎んで守るべき。

人のすることは、事ごとに皆礼がある。万事礼があれば、筋目がよくなってやりやすくなるし、心もまた落ち着き安定しやすくなる。礼がなければ、筋目が違い、乱れて行なうことができず、心も穏やかではなくなる。だから礼は行なわなければならないのである。

小児の時より和礼の法に従い、立居振る舞い、飲食、酒茶の礼、拝礼などを教えるようにする。

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