南留別志398

荻生徂徠著『南留別志』398

一   古に三尺の劔(つるぎ)といふは、今の二尺一寸五分なり。普通には、よきほどの手比(てごろ)なり。八握の劔も大かた同じほどなるべし。


[解説]三尺の劔(刀)は一般に大太刀(おおだち)といわれるもので、その名のとおり、90センチ以上もある長身の刀。南北朝から安土桃山時代にかけて実戦で使われたが、馬上から斬りつけるためのもので、振り回す必要はなかった。野戦用であることから野太刀ともいう。江戸時代に入って幕府は刀の長さを二尺三寸程度を「常寸」と定めた。公用の太刀の標準化である。のちには二尺二寸と更に短く規定された。なお、新庄藩、津軽藩、仙台藩に伝承した林崎夢想流では江戸期を通じて流祖が規定した三尺三寸の大太刀で稽古をし、変えることはなかったという。徂徠は、昔の長さの単位は現在(徂徠当時)よりも短かったため、数値が大きいということを言いたいのであろう。また、中国の単位は日本のよりも小さいため、数が大きくなる。

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