南留別志390

荻生徂徠著『南留別志』390

一   上総(かずさ)国に、日蓮宗の一種あり。寺も僧もなくて、土民のひそかにたつるなり。かたくなゝる事いはんかたなし。日蓮宗、一向宗などのおこり出でたるはじめ、みなかゝるさまなるべし。


[解説]宗教宗派が広がるには、寺があり僧侶がいて、それを拠点として檀家が集まり、組織化するのが一般的だが、中には地域の中で、住民たちだけで独自の信仰を持つこともある。閉鎖性の強い地域ほど精神的に連帯しやすいが、それが宗教に昇華する。「かたくな」つまり排他的になってしまうのも通弊だが、大きな勢力となった教団も、初めはこのようなものであったのだろうと徂徠はみる。

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