南留別志383
荻生徂徠著『南留別志』383
一 苗字といふ事は、室町家の比(ころ)より起れり。鎌倉の代には、それぞれの住所にしたがひて、和田ともいひ、三浦とも称し、朝比奈ともなのりしを、太平記の比より、あらぬ国に住みながら、仁木、細川、佐々木などいひたり。是よりして、おのづから姓はかくれゆきたるなり。
[解説]姓と苗字の違い、意味については既に何度も触れられているが、おさらいをしておくと、「姓」は天皇から与えられる世襲官職の名称、「苗字」は血族や血統に由来する家の名前のこと、「名字」は地域や所有地に由来する家の名前のこと。現在は戸籍や書類など、一律に「姓名」「氏名」となっており、由来や意味に関係なく同義で使われているが、かつては徂徠のいうように、苗字・名字を名乗るようになってから、それまでの姓は自然と使われなくなった。
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